株主・投資家の皆様へ

平素は格別のご高配とご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。
当社第92期連結会計年度が終了しましたので、概況につきご報告申し上げます。
2025年6月
代表取締役会長兼CEO末廣 博
第92期連結会計年度の概要
当連結会計年度における世界経済は、インフレの鈍化などにより回復傾向を示したものの、米国の新政権による関税政策が世界貿易に与える影響が懸念され、依然として不透明な情勢が続いています。日本経済は所得環境の改善により回復基調にあるものの、低調に推移しました。中国では不動産市場の低迷が続いておりましたが、自動車の買い替え支援策や大都市での不動産購入制限緩和により景気が持ち直しつつあります。米国では良好な所得環境により個人消費を中心とした国内需要に支えられ堅調に推移したものの、政策金利の高止まりがみられました。
当社グループが主として関連する自動車業界においては、中国では政府による販売促進を目的とした買い替え支援策の効果で中国車を中心に販売台数が増加した一方、国内では認証不正問題の影響により期初から生産が落ち込みました。
このような経営環境のもと、当社グループの当連結会計年度の売上高及び営業利益は、円安効果及び中国自動車販売台数増加が寄与した一方、日本での外部環境に起因する一部需要の減少により前年同期比で減収減益となりました。なお、親会社株主に帰属する当期純利益は投資有価証券売却益等により増益となりました。
来期は、円高進行の影響をはじめ、世界各国における金融・関税等の政策などに伴う景気後退の懸念や地政学リスクの継続により、引き続き不透明な状況が続くと予想されますが、当社では成長市場への積極投資と原価低減活動に注力することで株主の皆様のご期待に沿えるよう努力してまいります。
26中期経営計画の取組み状況
当社を取り巻く経営環境は、カーボンニュートラルの加速によるEV化へのシフト、CASE技術の発展といった100年に一度の大変革が進展するとともに、多様化し移り変わる人々の好みや想いに寄り添った美しく豊かな暮らしを重視する時代へと変わっていくと思われます。このような中で、当社は、従来の動力機構の概念を広げて、クルマやモノにとどまらずヒトやココロも含めた「動く」ところに関わり、人々の生活空間において不可欠な存在となりたい、との思いに基づき、今般、『「動く」をきわめ、 社会を支える TPR』をコーポレートメッセージに設定しました。そして、このコーポレートメッセージの実現に向けて、未来を見据えて、『さらなる成⻑を仕込む』ステージとして、今後3年間で取り組むべきことを新中期経営計画「26中計」としてまとめました。26中計初年度の取組みとして、既存事業である「パワートレイン分野」では引き続き旺盛な受注に対応すべく、成長市場への投資や主要工場での効率化ライン導入を進めました。パワートレイン以外の事業である「フロンティア分野」ではEV関連商品の量産や熱マネジメント製品の開発を加速するとともに、水素エンジン開発、車載インフォテインメントや宇宙ビジネスのスタートアップ企業への出資を行いました。また、保有有価証券の一部売却と自社株買いの実施、配当性向の引き上げなど資本効率の向上や株主還元の強化に努めました。経営基盤強化とサステナビリティ経営に取り組むことにより、持続的成⻑および企業価値向上を目指します。
株主の皆様の変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。